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ひとんようになったのは たぬきをころさした たたりやで」
「いいや ころしたんやない。おおあばれをしている たぬきをて びっくりして おもわず たたいて しもうたんや」
「ひょっとしたら、あばれていたんやうて、あのたぬきも。芝居しばいが だいすきで やくしゃ・ ・ ・ ・こえをかけてた だけやないか」
と うわさがひろがり とっさのこととはいえ たたきころして しまったことにこころをいためた大坂おおさかひとたちは、みんなで はなしあい舞台ぶたいしたちいさなほこらをつくって、んだ たぬきを まつってやりました。

そして

やくしゃ・ ・ ・ ・たちは 芝居しばいのはじまる まえには かならず このほこらにおまいりをして
「じょうずに 芝居しばいが できますように」
「おきゃくさんが ぎょうさんてくれはりますように」
と おたぬきさんに おねがいしたそうや。